親が亡くなったと連絡を受けて、頭が真っ白になる。しかも実家まで移動に時間がかかるとなれば、「何から手をつけるのか」「帰れる日数で何を済ませるのか」が一気にのしかかってきます。
最初の1週間で期限がはっきりしているのは、死亡届(死亡を知った日から7日以内)です。火葬・葬儀の手配には法令上の期限はありませんが、早めに葬儀社へ相談する必要があります。そのうえで、やることを「現地でやること」「離れていてもできること」「後回しでよいこと」の3つに分けると、動く順番が決めやすくなります。遺品整理や預貯金の整理、相続放棄の判断は、最初の1週間は急がなくて大丈夫です。
まず病院・施設・葬儀社の案内が最優先です。ここに書くのは、その案内を理解するための補助だと考えてください。すぐに動く必要がある人は、最初の48時間でやることから読んでください。
まだ親御さんが存命で、危篤や高齢で「その時」に備えている人は、後半の備えておくと動きやすいことが参考になります。
死亡後の手続き全体を期限順に見たいときは、家族が亡くなったらやること・手続き完全チェックリストにまとめています。この記事は、その中の最初の7日間を遠方の人向けに絞ったものです。
結論|最初の48時間でやること(遠方の人向け3行まとめ)
- 死亡診断書(または死体検案書)の受け取り方を確認する。 誰が、いつ、どこで受け取るのかを、病院・施設の担当者に聞きます。
- 葬儀社を決め、安置場所と火葬の日程を相談する。 火葬は、原則として、法律上、死亡後24時間を経過しないと行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。
- 兄弟姉妹・親族と連絡を取り、誰が喪主か、誰がいつ現地に着くかを決める。
死亡届には、死亡診断書または死体検案書の添付が必要です(法務省の案内)。つまり、1の受け取りができれば、次は死亡届と火葬許可に進めます。
自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医、救急、警察などの関わり方が状況によって変わります。ここで細かく書くことは避け、医師・警察・葬儀社の案内に従ってください。
最初の1週間の流れ(時系列の表)
時期の目安をひと目で確認できるように、現地に行く必要があるかどうかも並べました。順番や日数は一般的な目安です。宗派、地域、葬儀の形式によって変わります。
| 時期の目安 | やること | 現地に行く必要 | 離れていてもできること |
|---|---|---|---|
| 連絡を受けた直後 | 死亡診断書の受け取り方、安置先、葬儀社の確認 | 状況による(病院・施設・葬儀社に確認) | 電話での葬儀社の手配、親族への連絡 |
| 1〜2日目 | 葬儀社と日程・形式を相談、親族への連絡、喪主を決める | 打ち合わせは現地または電話・オンライン(葬儀社による) | 見積もりの確認、親族の移動手段の調整 |
| 〜7日以内 | 死亡届の提出、火葬許可証の受け取り | 提出先は複数ある(後述) | 葬儀社が代行する場合がある(葬儀社に確認) |
| 火葬・葬儀の日 | 火葬、葬儀・告別式(形式は家庭による) | 参列 | なし |
| 葬儀後〜7日 | 実家の鍵・貴重品の保管場所の確認、役所・年金の案内の確認 | 帰省中にまとめる | 年金事務所への案内の確認 |
葬儀の費用は、形式・地域・規模で大きく変わります。この記事では金額を載せません。見積もりを取って内訳を確認してください。
葬儀のあとに必要になる役所・年金事務所などの手続きを、窓口別・期限順に確認したいときは、死亡後の手続き早見表をご覧ください。
【現地・遠隔・後回し】の3区分で仕分ける
帰省できる日数が限られていると、「現地でしかできないこと」に時間を使いたくなります。そのために、3つに分けておきます。
| 区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 現地でやること | 遺体の安置・面会、葬儀・火葬への参列、実家の鍵と貴重品の所在確認(確認のみ。整理や処分はしない)、親族との顔合わせ |
| 離れていてもできること | 葬儀社への連絡・見積もりの確認、親族への連絡、死亡届の確認(提出は葬儀社が代行する場合がある)、年金事務所への案内の確認、弔電・香典の対応、会社への連絡 |
| 後回しでよいこと | 遺品整理、実家の売却・解体、預貯金の解約や名義変更、相続放棄の最終判断、四十九日以降の法事の準備 |
会社への連絡では、忌引休暇の扱いが気になるところです。忌引の日数や条件は、会社の就業規則によって決まっていることが多いため、就業規則を見るか、上司や人事に確認してください。
死亡届は遠方でも出せる|期限と提出先
期限は「死亡を知った日から7日以内」
法務省の案内では、死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に出します。国外で亡くなった場合は3か月以内です。手数料はかかりません。届出人になれるのは、親族、同居者、家主などです。
数え始めは、法務省の案内では「死亡を知った日」です。遠方で連絡を受けた場合など、どの日を起算日とみてよいか迷うときは、提出先の窓口で確認してください。
提出先は、死亡地・本籍地・届出人の所在地から選べる
提出先は、亡くなった人の死亡地か本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場です。
法務省民事局は、死亡届の届出地について、死亡者の本籍地、届出人の所在地、死亡地のいずれかとしたうえで、届出人の所在地は住所登録地に限られず、一時滞在地も含まれると案内しています。市区町村の戸籍窓口に出向いて届け出る場合は、死亡者の本籍地や死亡地にかかわらず、その窓口を届出人の所在地として提出できます(法定の届出地でないことを理由に受理を断られた事例が複数あったことを受けた、令和8年6月30日付けの通知にもとづく案内です)。帰省先など、実家とは別の市区町村の窓口に出すことも考えられます。ただし、必要書類や受付の運用は窓口ごとに異なる場合があるため、出す予定の役所に事前に電話で確認しておくと安心です。
火葬許可証は、死亡届を受理した市区町村が出します。遠方の役所に出す場合は、火葬の手続きとの兼ね合いを、先に葬儀社に相談してください。
実務では、葬儀社が死亡届を代行する場合があります。代行を頼む場合も、記載内容は届出人が確認します。代行の可否と範囲は、葬儀社に直接聞いてください。
書き方、必要書類、過料の詳細は死亡届の提出期限・必要書類・書き方にまとめています。
火葬許可証と、火葬までの24時間
墓地、埋葬等に関する法律では、火葬は原則として死亡後24時間を経過しないと行えません(3条)。また、火葬や埋葬には市町村長の許可が必要で、許可は死亡届を受理した市町村長が出し(5条2項)、許可証が交付されます(8条)。
窓口でのやり取りは市区町村や葬儀社によって異なります。葬儀社の案内に従って進めるのが現実的です。
葬儀社と日程を決めるときの考え方(遠方版)
決めることは、おおまかに次のとおりです。
- 安置場所
- 火葬の日
- 葬儀の形式(家族葬、一般葬など)
- 参列してもらう人の範囲
- 喪主
遠方の人が絡むときに、特に伝えておきたいのが、親族が集まれる日です。移動に時間がかかる人がいる場合、火葬の日程と親族の到着の調整を、先に葬儀社へ伝えます。
見積もりは、口頭だけで済ませず、書面(メールなど)で受け取り、内訳を確認します。離れた場所から決めるときほど、あとで「聞いていた内容と違う」とならないためです。葬儀の形式や費用は、地域や規模で大きく変わります。この記事では比較や相場には踏み込みません。
最初の1週間は急がなくていいこと
不安から、全部やらなければと思ってしまう人は少なくありません。急がなくてよいものを先に知っておくと、気持ちが少し軽くなります。
遺品整理・実家の片付け・売却
葬儀のあとすぐに、急いで処分する必要はありません。判断に迷う物は、保留にしておけば大丈夫です。相続放棄を考えている場合は、処分に注意が必要です(後述)。
遠方から片付けを頼む場合の流れは遺品整理は立ち会いなしで依頼できる?流れと注意点に、遺品整理全体の進め方は遺品整理とは?費用・進め方・業者選びの完全ガイドにあります。落ち着いてから読めば十分です。
預貯金の解約・名義変更
銀行の口座が凍結される仕組みや、払い戻しの手続きは、別の記事で説明しています。ここでは注意点だけ。引き出しや解約をする前に、相続放棄の可能性がないかを確認してください。 判断が難しい場合は、先に金融機関や専門家に確認するのが安全です。
詳しくは銀行口座の凍結と相続手続きの流れで確認できます。
相続放棄の判断(期限は3か月。最初の1週間では決めなくてよい)
裁判所の案内では、相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。調査に時間がかかる場合は、この期間内に、期間の伸長を家庭裁判所に申し立てられます。
気をつけたいのは、遺産の一部を処分すると、相続を承認したとみなされ、放棄が認められないことがあるとされる点です(名古屋家庭裁判所のQ&Aより)。どの行為が「処分」にあたるかは、個別の事情で判断が分かれます。迷うときは、家庭裁判所か弁護士に確認してください。
借金や保証債務の有無が分からない、遺産に手を付けてしまったかもしれない、期限が迫っている。こうした場合は、早めに相談することをおすすめします。
個別の事情は、家庭裁判所や弁護士に確認してください。
年金の手続き(1週間のすぐ後に期限が来ます)
日本年金機構の手続きページでは、年金を受けている人が亡くなったとき、「すみやかに」提出するよう案内されています。同機構のFAQでは、死亡届が必要な場合は「10日(国民年金は14日)以内」とされています。遅れると、受け取りすぎた年金を返す必要が出ることがあります。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、原則として年金受給権者死亡届(報告書)を省略できるとされています。未支給年金を受け取れる遺族は、請求書(死亡届兼用の様式)を出します。
年金は、最初の1週間のうちに終わらせなくてもかまいません。ただ、FAQの「10日(国民年金は14日)以内」は、1週間のすぐ後に来ます。亡くなった方のマイナンバーが機構に収録されているかどうかが分からない場合は、年金事務所に確認してください。期限の考え方や必要書類は、年金の受給停止と未支給年金の請求に整理しています。
現地にいる間にやっておきたいこと/離れてからできること
帰省している時間は貴重です。この間にやっておきたいのは「確認」だけで、整理や処分ではありません。
- 実家の鍵の所在
- 通帳・印鑑・保険証券・年金証書などの保管場所(持ち出す場合は、何をいつ持ち出したか記録を残す)
- 契約中のサービス(光熱費、携帯電話、新聞など)の一覧
兄弟姉妹との情報共有は、共有メモや写真を使うと、遠方同士でも行き違いが減ります。
離れてからできるのは、書類の郵送や、オンライン・電話での確認です。葬儀後の手続きの全体像は手続き完全チェックリストで確認してください。
住む人がいなくなる実家の管理については、空き家になった実家を放置するリスクで触れています。
備えておくと動きやすいこと(親が存命の人向け)
親御さんが存命で、いつかに備えたい人向けに、短く触れておきます。
- 親の連絡先(かかりつけ医、親族)を共有しておく
- 葬儀について、どうしたいかの希望を聞いておく
- 財産の保管場所を、無理のない範囲で共有しておく
「親に聞きにくい」と感じる人は多いものです。話し方に決まりはありませんが、無理に聞き出す必要はありません。生前整理の進め方は生前整理の費用とやることにまとめています。
よくある質問
Q. 死亡届は誰が出す?遠方の自分が出さなくてもいい?
届出人は、親族、同居者、家主などです。葬儀社が代行する場合があり、その場合は遠方の人が窓口に行かないこともあります。ただし、記載内容は届出人が確認します。詳細は死亡届の提出期限・必要書類・書き方にあります。
Q. 連絡を受けてすぐ行けない場合は?
葬儀社に事情を伝え、火葬の日程を調整してもらいます。到着予定は、兄弟姉妹にも共有しておきます。
Q. 会社の休みはどうなる?
忌引の扱いは、会社の規定によります。就業規則を見るか、上司や人事に確認してください。
Q. 実家の片付けはいつから始める?
最初の1週間は急がなくて大丈夫です。進め方は遺品整理とは?費用・進め方・業者選びの完全ガイドと遺品整理は立ち会いなしで依頼できる?を参考にしてください。
Q. 相続放棄をするかどうか、いつまでに決める?
原則は、相続の開始を知ったときから3か月以内で、この期間内に延長を申し立てることもできます。この間は、財産の処分に注意してください。個別の事情は、家庭裁判所や弁護士に確認してください。
最初の1週間は、死亡届の7日以内という期限、現地・遠隔・後回しの仕分け、そして遺品整理・預金・相続放棄の判断を急がないこと。この3つを押さえておけば、悲しむ間もなく続く手続きも、順番に確認していけます。
葬儀が終わって落ち着いたら、続きの手続きは手続き完全チェックリストで確認できます。実家をどうするか考える段階になったら相続した実家を売る流れに、片付けについては遺品整理は立ち会いなしで依頼できる?に進んでください。
手続きの個別の判断は、葬儀社・市区町村の窓口・年金事務所・家庭裁判所・弁護士などに確認しながら進めてください。


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