親のカード明細に、見覚えのない数百円〜千円ほどの引き落としが毎月続いている。止めたいけれど、何のサービスかも、パスワードも分からない。デジタル遺品の中でも、つまずく人が多い場面です。
国民生活センターにも「故人が契約したサブスクの請求を止めたいが、IDとパスワードが分からない」という相談が寄せられています。ただ、主なサービスには、ログインできない家族のための窓口があります。カギになるのは、パスワードより「どこで払っているか」です。
サブスクは亡くなっても自動では止まらない
サービス側には、契約者が亡くなったことを知る手段がありません。家族が連絡しない限り、課金はそのまま続きます。
口座の凍結やカードの停止で引き落としに失敗しても、契約が自動で消えるとは限りません。サービス側では「支払いが滞っている」扱いになる場合もあります。
家族が気づきにくいのは、次のような理由からです。
- 月数百円の少額で、明細の中で目立たない
- 年払いだと、1年に1回しか明細に出てこない
- 親のカード明細をふだん見ていない
解約の前に:契約中のサブスクを洗い出す
何を契約していたか分からないときは、次の3か所を見ます。
- クレジットカード・銀行口座の明細(年払いがあるので1年分)
- 故人のメール(「領収書」「ご請求」で検索)
- スマホの定期購入の一覧(iPhoneは「設定」、AndroidはGoogle Play)
洗い出しの詳しい手順と、スマホの回線を先に解約しないほうがいい理由は、別の記事にまとめています。
解約窓口は「どこで払っているか」で決まる
同じ動画配信サービスでも、iPhoneのアプリ内で申し込んだならApple、サービスのサイトでカードを登録したならそのサービスが解約の窓口です。まずはカード明細の表記から、支払いの経路を見分けます。
| 明細の表記の例 | 支払いの経路 | 解約・問い合わせ先 |
|---|---|---|
| apple.com/bill | App Store(iPhone) | Apple |
| GOOGLE*アプリ名、GOOGLE PLAY JAPAN など | Google Play(Android) | |
| 携帯料金と一緒に請求されている | 携帯会社の支払い(キャリア決済) | 携帯会社 |
| サービス名そのもの | サービスに直接登録 | 各サービス |
AppleとGoogleの表記は、それぞれの公式ヘルプに載っているものです(2026年10月時点)。サービスに直接登録した場合の表記は、サービスやカード会社によって違います。
App Store(iPhone)経由の場合
故人のiPhoneが開けるなら、「設定」→ユーザ名→「サブスクリプション」から、項目を選んで「サブスクリプションをキャンセル」で止められます。
開けない場合は、Appleサポートに問い合わせます。ここで勘違いしやすいのが、Appleの「故人アカウント管理連絡先」です。写真やメモは受け取れても、購入した映画や音楽、サブスクリプションは対象外とAppleのサポートページに明記されています。サブスクを止める手段にはならないので、別に問い合わせが必要です。
Google Play(Android)経由の場合
スマホが開けるなら、Google Playの「定期購入」から解約したいものを選び、「定期購入を解約」をタップします。Googleは「アプリをアンインストールしても、定期購入は解約されません」と案内しています。
ログインできない場合は、Googleの「故人のアカウントに関するリクエスト」から、アカウントの閉鎖を申請する方法があります。ただし閉鎖すると、Googleフォトなどのデータにも入れなくなります。写真が残っていそうなら、先に取り出せるか確認しておきましょう。
携帯会社の支払い(キャリア決済)の場合
携帯料金とまとめて払っている定額サービスは、携帯会社の窓口で確認するのが近道です。回線の解約や承継を相談するときに、「携帯料金と一緒に払っているサービスも確認・停止したい」と伝えると漏れが減ります。
サービスに直接登録している場合
各サービスの問い合わせ窓口に連絡します。代表的な2つを紹介します(2026年10月時点、各社の公式ヘルプで確認)。
Netflix
Netflixのヘルプには、「亡くなられたNetflixメンバーのアカウントをキャンセルする方法」というページがあります。
- ログインできる場合:アカウント情報のページで「メンバーシップのキャンセル」を選ぶ。すべてのデバイスからのログアウトもすすめられています
- ログインできない場合:Netflixに問い合わせる。伝えるのは「登録されたメールアドレスまたは電話番号」と「支払いに使われている支払い情報」
Amazonプライム
ログインできない家族向けの窓口として、Amazonのヘルプには遺族向けの「Bereavement Support」のページがあり、専用のメール窓口が案内されています。調べた範囲では、続柄が分かる書類(戸籍謄本など)、連絡する人の本人確認書類、故人のアカウントを特定する情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号など)を求められるようです。連絡の前に、ヘルプページで最新の内容を確認してください。
急がないでほしいのがアカウントの閉鎖です。閉鎖すると、Kindleのコンテンツ、購入した動画を含むPrime Video、ギフトカードの残高などが使えなくなり、元に戻せないとされています。対象の範囲は、手続きの前にAmazonのヘルプで確認してください。プライムの解約だけで足りるのか、アカウントごと閉じるのかは分けて考えましょう。
音楽配信や新聞の電子版、クラウドの有料プランなども、基本は同じです。各サービスの「お問い合わせ」から、次のテンプレートで連絡してみてください。
問い合わせで伝えることテンプレート
電話やチャットでは、最初にこう伝えると話が通りやすくなります。
「契約者の◯◯(氏名)が◯月◯日に亡くなりました。私は◯◯の(続柄)です。ログイン情報が分からないため、解約の手続きをお願いしたいです。」
手元に用意しておくものは次のとおりです。
- 故人の氏名・生年月日・住所・電話番号
- 分かれば登録メールアドレス
- 明細に出ている請求額と日付、カードの下4桁
- 問い合わせる人の本人確認書類
- 死亡と続柄が分かる書類(戸籍謄本など。求められた場合)
亡くなった後に引き落とされた分の返金も、このとき一緒に聞いてみましょう。ただ、対応はサービスや契約の条件によって違い、必ず返ってくるわけではありません。
クレジットカードを止めれば全部解決する?
カード会社に契約者の死亡を届け出れば、そのカードからの引き落としは止まるのが一般的です。ただ、それで「解約」になるわけではありません。
- サービス側の契約やアカウントは残ることがある
- 支払いの失敗が続き、督促の連絡が来る場合がある
- ギフトカード残高など、カード以外で払っている分は続くことがある
カードの停止とサービスの解約は、両方やると考えておくと迷いません。カード会社への連絡を含む手続きの全体は死亡後の手続きチェックリスト、口座振替の場合の口座凍結の流れは銀行口座凍結・相続手続きの解説記事にまとめています。
家族で使っていたサブスク・ファミリープランの注意点
故人が支払っていたファミリープランは、解約や支払い停止で、家族全員が使えなくなる場合があります。Appleのファミリー共有や、動画配信の家族向けプランなどが当てはまります。
続けて使いたいなら、家族の誰かが自分の名義で契約し直します。共有アルバムなどで写真を一緒に見ていた場合は、解約の前に自分の端末へ保存しておくと安心です。
離れて暮らす家族が進めるときのポイント
サブスクの解約は電話・チャット・Webフォームで受け付けているところが多く、実家に行かなくても進められる場合が多いです。書類をスマホで撮影して送れる窓口もあります。
困りやすいのは、カード明細が手元にないことです。カード会社に相続人として連絡すると、利用状況を確認できる場合があります(手続きはカード会社ごとに違います)。帰省のときには、郵便物(カード明細・請求書)と故人のスマホを回収しておくと、あとが楽です。
生前にできる備え
ここまでの手間の多くは、「何を、どこで払って契約しているか」が分からないことから来ています。親が元気なうちに一覧にしておいてもらうだけで、家族はずっと動きやすくなります。
| サービス名 | 支払い方法 | 金額・周期 |
|---|---|---|
| 例:動画配信サービス | ◯◯カード | 月額◯円 |
| 例:音楽配信アプリ | iPhone(App Store) | 年額◯円 |
パスワードまで書くのは抵抗があっても、サービス名と支払い方法なら頼みやすいはずです。生きているあいだは見られずに、万一のときだけ家族に渡す残し方は、パスワードの家族への残し方|エンディングノートの書き方と安全な共有方法で比べています。自分の家族に同じ苦労をさせたくない人も、一度目を通してみてください。デジタル遺品全体の優先順位はデジタル遺品整理の全体ガイドにまとめています。
よくある質問
Q. ログインできるなら、故人のアカウントで解約してもいい?
本人以外の利用を規約で想定していないサービスが多く、解約だけなら問題ないとは言い切れません。迷う場合は、公式窓口に「家族として解約したい」と相談するのが確実です。Netflixのように、ログインできる場合の手順を遺族向けに案内しているサービスもあります。
Q. 亡くなった後に引き落とされた分は返金される?
サービスによって違います。問い合わせのときに亡くなった日を伝えて、対象になるか確認してみてください。
Q. 契約していたサービスが分からない。どうすればいい?
明細・メール・スマホの定期購入の一覧の3か所を見ていきます。詳しい手順は解約前の確認の記事で紹介しています。
Q. 口座が凍結されたら、サブスクは勝手に止まる?
引き落としはできなくなりますが、契約が自動で解約されるわけではありません。解約の手続きは別に進めましょう。
Q. Amazonのアカウントを閉鎖したら、Kindle本や写真はどうなる?
Kindleのコンテンツや購入した動画は使えなくなり、閉鎖は元に戻せないとされています。Amazon Photosに写真を保存していた場合も、閉鎖の前に取り出しておくのが安全です。
止まらない引き落としを見ると焦りますが、「どこで払っているか」を確かめれば窓口は見えてきます。一度に全部片付けなくても大丈夫です。金額の大きいもの、年払いのものから順に連絡していけば、余計な引き落としはかなり減らせます。

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