親のスマホは手元になく、パスワードも分からない。それでもFacebookからは誕生日の通知が届き、LINEの友だち一覧にはアイコンが残ったまま。葬儀や役所の手続きが一段落したころに、故人のSNSのことが気になりだす人は多いようです。
ログインできなくても、各サービスには遺族が申請できる窓口があります。ただし、できることはサービスごとに違います。Facebook・Instagram・X・LINEの4つについて、公式ヘルプの案内を並べました(2026年10月時点)。
サービス別「できること」早見表
| サービス | 追悼アカウント | 削除 | 申請できる人 | 主な必要書類 | 申請方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| あり | あり | 追悼は友人・家族も可/削除は近親者など | 追悼:死亡を示す書類/削除:死亡診断書など+近親者であることの証明 | Webフォーム | |
| あり | あり(近親者) | 追悼は家族以外も可/削除は近親者 | 追悼:死亡記事へのリンクなど/削除:死亡証明書など | Webフォーム | |
| X(旧Twitter) | なし | 利用解除(削除)の依頼のみ | 家族・遺産の代理人など | 死亡証明書類と申請者の身分証明書のコピーなど | Webフォーム |
| LINE | なし | 削除の依頼 | 遺族 | LINEの案内に従う | 問い合わせフォーム |
どのサービスも、故人のアカウントにログインせずにオンラインで申請できます。
故人のSNSを放置するとどうなるか
何も手続きしなければ、アカウントは基本的にそのまま残ります。LINEは公式に「利用者が亡くなった場合の手続きは必須ではありません」と案内しています。急いで決めなくても大丈夫です。
ただ、放置したアカウントには気になる点が2つあります。
- 乗っ取りに使われるおそれ:持ち主が見ていないアカウントは、不正ログインされても気づかれにくくなります。乗っ取られたアカウントから、友人に詐欺のメッセージが送られることもあります
- 家族の気持ちの負担:誕生日のお知らせや「知り合いかも」の表示が続くと、そのたびに家族がつらくなることがあります
知らない投稿が増えている、友人から「変なメッセージが来た」と連絡があった。こうした様子が見えたら、すぐに動いたほうがいいサインです。
「追悼アカウント」と「削除」、どちらを選ぶか
追悼アカウントとは
FacebookとInstagramにある、故人のアカウントを思い出の場所として残す仕組みです。名前の横に「追悼」と表示され、誰もログインできなくなります。これまでの写真や投稿は残ります。Instagramでは、追悼アカウントは「発見」などに表示されなくなります。投稿を残したまま、乗っ取りの心配を減らせる選択肢です。
判断の軸
迷ったときは、次の3つを家族で話してみると整理しやすくなります。
- 故人の意向:エンディングノートや生前の会話で「消してほしい」「残してほしい」と言っていなかったか
- 家族の気持ち:見るのがつらいのか、写真を見返せる場所として残したいのか
- 友人とのつながり:故人の友人がコメントを寄せるなど、追悼の場として使いたい人がいるか
家族で意見が分かれたら
覚えておきたいのは、削除したアカウントは元に戻せないことです。迷っているなら、まず追悼アカウントにして時間をおく方法もあります。Facebookは、追悼アカウント管理人なら「いつでも削除できる」と案内しています。一方で、管理人のいない追悼アカウントは「変更できません」とも書かれていて、あとから削除を申請できるかは公式の案内では確認できませんでした。管理人がいない場合は、追悼アカウントにする前に各サービスのヘルプで確認しておくと安心です。
サービス別の手続き方法
ヘルプセンターの「追悼アカウントのリクエスト」フォームから申請します。死亡記事、死亡診断書、葬儀の案内状など、亡くなったことが分かる書類の画像を添えます。フォームでは故人の名前(プロフィール)や亡くなった日も聞かれます。亡くなった日はおおよそでもかまわないと案内されています。
削除を希望する場合は、近親者または遺産の執行者であることを示したうえで、死亡診断書などの画像を添えて申請します。
故人が生前に「追悼アカウント管理人」を指定していた場合、管理人(Facebookの友達1人)ができることは次のとおりです。
- できる:固定の投稿を作る、プロフィール写真・カバー写真を変える、友達リクエストに対応する、アカウントを削除する。本人が許可していれば、故人がシェアした内容のコピーをダウンロードする
- できない:ログインする、過去の投稿を編集・削除する、メッセージを読む、友達を削除する
管理人になれば何でも見られる、と思い込みやすいのですが、メッセージは読めません。
Instagramも追悼アカウント化と削除の2つから選べます。追悼アカウントの申請には、死亡記事やニュース記事へのリンクなど、亡くなったことが分かるものが必要です。削除を申請できるのは近親者だけです。故人の死亡証明書や出生証明書、または故人の代理人であることを示す法的な書類のいずれかを求められます。日本の戸籍謄本などで足りるかは、申請時に確認してください。
FacebookとInstagramはどちらもMetaのサービスですが、手続きはそれぞれ別に必要です。片方を申請すればもう片方も済む、とはならない点に気をつけてください。
X(旧Twitter)
Xには追悼アカウントの機能はありません。遺族ができるのは、アカウントの利用解除(削除)の依頼です。ヘルプセンターにある「亡くなられた利用者のアカウント」用のフォームから申請します。
調べた範囲では、次のようなものを求められるようです。
- 故人のユーザー名(@から始まる名前)
- 故人の死亡を証明する書類のコピー
- 申請者の身分証明書のコピー
- 申請者と故人の関係
その後のやりとりが英語のメールになる場合もあります。ただ、ここに挙げた内容は、2026年10月時点のXの公式ヘルプの本文で確かめきれていません。申請前に、フォームの最新の案内を確認してください。
LINE
LINEの公式ガイドには、「ご遺族であっても故人のアカウントを引き継ぐことはできません」と書かれています。削除を希望するなら、問い合わせフォームから連絡します。手続きをしなければ、アカウントがそのまま残る場合もあります。
迷いやすいのはトーク履歴です。残したいトークがあるなら、故人のスマホが開けるうちにスクリーンショットなどで残しておくのが現実的です。スマホの回線を解約すると、LINEにログインし直せなくなることもあります。解約の前に決めておきましょう。
その他のSNS(YouTube・TikTokなど)
YouTubeはGoogleアカウントの手続きになります。
TikTokなどそのほかのサービスは、各サービスのヘルプで「亡くなった」「故人」と検索すると、遺族向けの案内が見つかることが多いです。X Premiumなどの有料プランを故人が契約していた場合は、アカウントの手続きとは別に、支払いが止まっているかも確認しておきましょう。
申請の前にそろえておくもの
- □ 故人のアカウント名(プロフィールURL)。登録メールアドレスも分かればなおよい
- □ 死亡を証明する書類(死亡診断書の写し、死亡の記載がある戸籍謄本など。認められるものはサービスごとに違う)
- □ 申請者の本人確認書類(運転免許証など)
- □ 続柄を証明する書類(戸籍謄本など)
書類はスマホで撮影するかPDFにして、すぐ添付できるようにしておくと楽です。死亡診断書は死亡届と一緒に役所へ出すので、提出前にコピーを取っておくとほかの手続きにも使えます。戸籍謄本は銀行や年金の手続きでも必要になるため、まとめて取ると手間が減ります。ほかの手続きは死亡後の手続きチェックリストで確認できます。
離れて暮らす家族が手続きするときのポイント
SNSの申請はすべてオンラインです。故人のスマホが手元になくても、実家に行かなくても進められます。
つまずきやすいのは戸籍謄本の取り寄せです。取り方は2つあります。
- 本籍地の役所に郵送で請求する:窓口に行かずに取れる
- 「戸籍証明書等の広域交付」を使う:2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになりました。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫です。窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。顔写真付きの本人確認書類も必要です。住んでいる地域の役所で取れるので、遠方の家族には便利です
兄弟姉妹で手分けするなら、「どのSNSを、誰が、いつ申請したか」を一覧にして共有しておきましょう。同じ申請を二重に出したり、誰も出していなかったりを防げます。
生前にできる備え
自分のSNSを死後どうしてほしいかは、今から決めておけます。
- Facebookの追悼アカウント管理人を指定する:Facebookの友達から1人を選べます。死後にアカウントを削除してほしい場合は、その設定もできます
- 「残してほしい/消してほしい」をエンディングノートに書く:サービス名と希望を1行ずつ書くだけで、家族が迷わずに済みます
パスワードまで書き残すかどうかは悩むところです。そのまま書くと見られるリスクがある一方、サービス名とIDが分かるだけでも家族の手続きはずっと楽になります。紙・スマホの機能・パスワード管理アプリの違いは、パスワードの家族への残し方で比べています。デジタル遺品全体の備えはデジタル遺品整理の全体ガイドにまとめています。
よくある質問
Q. 故人のパスワードを知っているので、ログインして削除してもいい?
多くのサービスは、本人以外がアカウントを使うことを規約で認めていません。手間はかかっても、遺族向けの公式窓口から申請するほうが確実です。
Q. 追悼アカウントにした後で削除できる?
Facebookは、追悼アカウント管理人ならいつでも削除できると案内しています。管理人のいない追悼アカウントは「変更できません」とされていて、あとから削除を申請できるかは公式の案内では確認できませんでした。Instagramも含め、申請前に公式ヘルプで確認してください。
Q. 申請から完了までどれくらいかかる?
完了までの日数は、どのサービスも公式にははっきり示していません。書類の追加を求められて長引くこともあります。
Q. LINEのトーク履歴だけ残すことはできる?
LINEに頼んでトーク履歴を出してもらう仕組みは、公式の案内では見当たりませんでした。故人のスマホが開けるなら、スクリーンショットで残すのが現実的です。
Q. 友人が勝手に追悼アカウントを申請することはある?
FacebookとInstagramでは、家族以外の人も追悼アカウント化を申請できます。家族が知らないうちに追悼アカウントになっていた、ということも起こりえます。削除を希望する場合、近親者として申請できるかどうかは、各サービスのヘルプで確認してください。
SNSの手続きには、公式に期限が示されているものは見当たりません。気持ちが落ち着いてから家族で話し、乗っ取りの兆しがあったときだけは早めに動く。この順番で考えれば十分です。


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