「業者に頼むと数十万円かかると聞いて、まずは自分でできるところまでやってみたい」——親の遺品整理を前に、まずそう考える人は多いはずです。
遺品整理は、自分で行うこと自体は十分可能です。ただ、事前の確認を怠ると後でトラブルになったり、想像以上に時間がかかったりするのも事実です。ここからは、一般的な作業の順番に沿って、準備物や手順、自分でやる場合のメリット・デメリット、そして「ここは業者に任せたほうがいい」と言われるポイントまでお伝えしていきます。
遺品整理を自分で行う前に確認しておくこと
作業を始める前に、必ず確認しておきたいことが3つあります。ここを飛ばして進めると、後から「勝手に処分した」とトラブルになったり、退去期限に間に合わなかったりするので注意してください。
相続人・親族への事前相談
遺品は故人の財産の一部です。仮に高価なものでなくても、他の相続人からすると「勝手に処分された」と感じることがあります。作業を始める前に兄弟姉妹へ「いつ、何から手をつけるか」を簡単に共有しておくだけでも、後の揉め事を避けやすくなります。
処分してよいもの・残しておくものの基準を、作業前に家族間ですり合わせておくことをおすすめします。
賃貸の場合は退去期限を確認
故人が賃貸物件に住んでいた場合、家賃が発生し続けるため退去期限が決まっていることがほとんどです。管理会社や大家さんに退去日を確認し、そこから逆算して作業スケジュールを組みましょう。期限が迫っている場合は、自分で全てをやりきるのが難しいこともあるため、このあと紹介する業者への依頼も選択肢として頭の片隅に置いておくと安心です。
遺言書・エンディングノートの有無を確認
作業を始める前に、遺言書やエンディングノート、財産目録のようなものが残されていないか確認しておきましょう。処分方法の希望や、財産の在りかが書かれていることがあります。仏壇や本棚、金庫、タンスの奥など、見落としやすい場所も一通りチェックしておくと安心です。
遺品整理に必要な道具・準備物
作業当日にあると効率が上がる道具を挙げてみます。ホームセンターや100円ショップでもそろえられるものが中心です。
- 軍手・作業用手袋(滑り止め付きだと作業しやすい)
- マスク(ホコリやカビ対策。長期間空き家だった場合は防塵性の高いものを)
- 動きやすい作業着・汚れてもよい服装
- 段ボール(仕分け用に多めに用意)
- ゴミ袋(自治体指定のもの・大容量タイプ)
- 台車(家具や家電の運搬に)
- 養生シート・マスキングテープ(床や壁の傷防止)
- カッター・ガムテープ(梱包・開梱用)
- 油性ペン(段ボールへの中身の記載用)
- 大きめのゴミ袋やコンテナ(細かい小物の一時保管用)
段ボールとゴミ袋は「多いかな」と思うくらい用意しておくのがおすすめです。物量は想像以上になりやすく、途中で買い足しに走るケースがよくあります。
遺品整理の手順(5ステップ)
一般的な作業の流れを、順を追って見ていきます。
ステップ1:スケジュールを立てる
一戸建てか、賃貸か、荷物量はどれくらいかによって必要な日数は大きく変わります。1DKほどの部屋であれば1〜2日、荷物の多い一戸建てだと数週間〜数ヶ月かかることも珍しくありません。退去期限や法要の日程なども踏まえて、無理のないスケジュールを組みましょう。一度にやろうとせず、週末ごとに区切って進めるのも一つの方法です。
ステップ2:貴重品・重要書類を先に確保する
作業の中で最も優先すべきなのがこのステップです。以下のようなものは、他の片付けより先に、部屋の隅々まで確認して確保してください。
- 現金・預貯金通帳・キャッシュカード
- 実印・印鑑登録証
- 土地や建物の権利証(登記識別情報)
- 保険証券・年金手帳
- 貴金属・宝石類
- 契約書類、株式・投資関連の書類
これらは引き出しの中だけでなく、本の間や衣類のポケット、仏壇の裏など、思わぬ場所から見つかることがあります。タンスの引き出しの底に現金が挟まっていた、というのもよく聞く話です。仕分け作業を急いで進める前に、まずこの確保作業だけは丁寧に行うことをおすすめします。
ステップ3:「残す/売る/捨てる」に仕分ける
貴重品の確保が終わったら、残りの物を「残す」「売る」「捨てる」の3つに仕分けていきます。段ボールやコンテナに分類先を書いた紙を貼っておくと、家族と手分けする際もスムーズです。
ここで一番時間がかかるのが、写真や手紙、趣味の道具といった「思い出の品」の扱いです。すべてを残すことはできませんが、すべてを処分するのも心が痛みます。たとえば「写真だけは一旦全部残す箱に入れて、後日改めて見返す時間を作る」というやり方もあります。作業中の勢いで判断せず、迷ったものは一時保留にしておくスペースを作っておくと、後悔の少ない仕分けができます。
ステップ4:不用品を処分ルートごとに分ける(自治体/買取/回収業者)
「捨てる」に仕分けたものも、すべて同じ方法で処分できるわけではありません。
- 自治体の粗大ごみ・一般ごみとして出せるもの
- 買取に出せる可能性があるもの(家具、家電、着物、骨董品、貴金属など)
- 量が多く、自分で運び出すのが難しいもの(回収業者への依頼を検討)
この振り分けを事前にしておくことで、次のステップの処分作業が格段にスムーズになります。
ステップ5:清掃して完了
物がすべて運び出せたら、最後に室内を清掃します。賃貸の場合は原状回復の範囲を管理会社に確認しておきましょう。ハウスクリーニングまで自分で行うのが難しい場合は、清掃だけを業者に依頼する方法もあります。
自分で遺品整理をするメリット・デメリット
メリット:費用を抑えられる、思い出の品にじっくり向き合える
最大のメリットは、業者への依頼費用がかからないことです。実際の費用相場は間取りや荷物量によって変わりますが、業者に依頼すると数万円〜数十万円かかるケースもあります(詳しい相場は下記の記事で解説しています)。
自分の手を動かしながら整理することで、一つひとつの品物にどんな思い出があったかを振り返る時間が持てるのも、自分で行う場合ならではの良さです。急かされずに、自分のペースで故人と向き合える時間でもあります。
遺品整理にかかる費用の目安を先に知っておきたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
デメリット:時間と体力がかかる、大型家具の処分に困る、心理的負担が大きい
一方で、当然ながらデメリットもあります。
- 想像以上に時間と体力を消耗する(特に一戸建てや荷物の多い部屋)
- タンスやベッドなどの大型家具は、一人で運び出すのが難しい
- 遺品と向き合う作業は精神的な負担が大きく、思うように作業が進まないこともある
- 仕分けや処分方法の判断に時間がかかり、スケジュールが延びがち
想定していた期間より大幅に時間がかかるのは、よくあることです。特に大型家具の解体・運び出しは一人ではどうにもならないことが多く、その部分だけ家族や知人に手伝ってもらう、業者に頼むといった対応が必要になりがちです。
こんな場合は業者に依頼したほうがいい
自分で行うことにこだわりすぎず、以下のようなケースでは業者への依頼も検討したほうが、結果的に負担が少なく済むことがあります。
- 荷物の量が多い一戸建てで、仕分けから搬出まで手が回らない
- 遠方に住んでいて、現地に何度も通うのが難しい
- 特殊清掃(孤独死や事故があった現場など)が必要なケース
- 退去期限が迫っていて、自分のペースでは間に合わない
- 家族間で作業できる人手が確保できない
無理をして自分だけで抱え込むよりも、部分的にでもプロの手を借りたほうが、結果的に故人とじっくり向き合う時間を確保できることもあります。業者選びのポイントや費用感を比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。
遺品整理業者おすすめ比較8選はこちら。複数の業者を比較しながら、信頼できる依頼先を選ぶポイントをまとめています。
自分で仕分けた不用品の処分方法
「捨てる」に仕分けたものも、内容に応じて処分方法を使い分けることで、費用を抑えたり、思わぬ収入につながったりすることがあります。
自治体の粗大ごみ回収を使う
家具や家電の一部は、自治体の粗大ごみ受付センターに申し込むことで処分できます。地域によって料金やルールが異なるため、事前にお住まいの自治体のホームページで確認しておきましょう。処分ルート全体の使い分けと順番は、実家の不用品を処分する方法まとめにまとめています。
売れるものは買取に出す
着物、骨董品、貴金属、状態の良い家具・家電などは、買取業者に査定してもらうことで処分費用を浮かせられるだけでなく、思わぬ金額で買い取ってもらえることもあります。「捨てるにはもったいない」と感じたものは、まず査定に出してみるのも一つの方法です。
どんなものが高く売れやすいか、おすすめの買取業者を知りたい方はこちらもご覧ください。
大量にある場合は不用品回収業者に依頼する
粗大ごみとして出すには量が多すぎる、あるいは自治体の収集日まで待てないという場合は、不用品回収業者にまとめて依頼する方法もあります。即日対応してくれる業者もあり、退去期限が迫っているケースでは特に有効です。
費用相場や業者の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q:一人で遺品整理をするのは大変?
正直なところ、一人で全てを完結させるのは体力的にも精神的にも負担が大きいです。特に大型家具の運び出しや、思い出の品と向き合う場面では、家族や友人に手伝ってもらうか、部分的に業者へ依頼することも検討したほうがよいでしょう。無理に一人で抱え込む必要はありません。
Q:遺品整理にかかる期間の目安は?
部屋の広さや荷物量によって大きく異なりますが、目安として1Kや1DKほどの部屋であれば1〜2日、荷物の多い一戸建てであれば数週間から数ヶ月かかることもあります。週末だけ作業できる場合は、さらに長い期間を見込んでおくと安心です。退去期限がある場合は、逆算して早めにスケジュールを組みましょう。
まとめ
遺品整理は、自分で行うこと自体は十分可能です。ただ、事前の確認、貴重品の確保、そして無理のないスケジュール管理は欠かせません。また、すべてを自分で抱え込む必要はなく、荷物量や状況に応じて業者の力を借りるという選択肢も、決して悪いことではありません。
費用を抑えたい方は、まず自分でできる範囲を見極めることから始めてみてください。そのうえで、費用相場や業者選び、買取・回収のサービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。


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